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131

--魔王城--

魔王「長い歴史の中で、人類を滅亡させた魔王がいただろうか?」

勇者「……」

魔王「歴史の話をしてやろう。そうだな……たとえば30年前のことだ」

勇者「……」

魔王「30年前、前勇者は仲間たちと共に世界平和のために戦った。その勇者は本当に人が大好きでな、平和のためならば死もいとわないというマゾイ男だった」

勇者「……」

魔王「勇者の努力かいあって魔王を倒すことに成功した。しかしいざ魔王を倒してみても世界は平和にならなかった。今まで協力していた人々の集団は、互いに新しい敵を見つけ戦争を起こした」

勇者「……」

魔王「滅びこそしなかったものの、この世界は大きく分けて5つに分断した。王国、西の王国、東の王国、南の王国、北の王国」

勇者「……」

魔王「人々がなんと言おうが魔王は必要悪なのだ。人が人として生きるために」

勇者「……」



132

--魔王城--

勇者「違う……」

魔王「……何が違う」

勇者「魔王なんかいらない!!」

魔王「……」

勇者「魔王なんかがいるから……魔王なんかがいるから勇者が生まれるんじゃない!!」

魔王「……表裏一体だからな。魔王と勇者は。いやそれも違うか。……同じものだ。勇者と魔王は」

勇者「私は勇者になんて……」



133

--魔王城--

ワーウルフ「……ふっ」

踊子「ああああああああああああ!!魔族ううううううう!!!」

魔法によって強化した踊子の蹴りは、速度、威力ともに跳ね上がっていた。

踊子「ごほっ」(もうもたないの!?)

時間にして一分も戦闘を行っていない。
なのに踊子の腹部の氷は赤い色をしていた。

ワーウルフ「……もう一度眠りますか?」

踊子「はっ!?」

傷のことが一瞬頭にちらついた踊子。
再び意識を戻した時にはワーウルフは目と鼻の先に。

シュン

音を立てずにワーウルフの後ろから接近していた盗賊のナイフが

ザシュっ

踊子「げぼっ」

盗賊「ぐっ!!」

何かに刺さることはなく、ワーウルフの爪によって二人は切り裂かれた。



134

--魔王城--

魔王「少女よ、お前は何を望む」

勇者「私は……何も望まない」

魔王「したいことはないのか?」

勇者「私が本気でしたいことなんて……ない」

魔王「嘘をついたな」

勇者「っ……私は……ずっと家族が欲しかった」

魔王「……」

勇者「私はずっと、仲間が欲しかった」

魔王「ならなぜ……お前は剣を手に取りここにいる」

勇者「!?」

魔王「別に世界を救う気もなく、人々のために戦う気も無く、ただ勇者の資格を持っているから流れにそって生きている。何もかもが中途半端だな」

勇者「わた」

魔王「仲間が欲しいだけなら、ずっと旅をしていればよかったではないか」

勇者「私は……私が勇者であり続けなければ……勇者でなければ関係を維持できないと思ったから……」



135

--魔王城--

盗賊「た」

踊子「お」

盗賊「れ」

踊子「て」

盗賊「た」

踊子「ま」

盗賊「る」

盗賊、踊子「かあああああああああああああああああああああ!!!!」

ワーウルフ「!?」(耐えただと!?)

ドシュ!!
ボゴっ!!

ワーウルフ「っっうっぐううう!!」

一瞬の油断、本来なら到底当ることはない両者の攻撃を受けてしまう。

ワーウルフ(あの男性のナイフ……いやスキルか。魔力をごっそり盗まれました……もう体力は限界のはずなのにどこにこんな!!)

踊子(わたしの方を見向きやしない……わたしの蹴りじゃダメージなんて皆無、ってことですか……)

ワーウルフ(まずはあの男性を確実に、落とす!!)

ワーウルフが足先に力を込めた。

踊子「ふざけるなよ……」



136

--魔王城--

魔王「……勇者よ。お前に我の崇高なる使命の邪魔をする資格はない」

勇者「……」

魔王「さて、そろそろ上のやつらの始末も終わったろうて」

勇者「!!……どういうこと」

魔王「お前の仲間は我が左手が相手をしている」

勇者「!!!!」

魔王「ふむ……どうやらあとちょっとで……全員殺せるようじゃの」

ズキッ

勇者「うぐっ!!」

勇者の頭部に激痛が走る。

やだ、やだやだ

魔王「安心しろ。お前は元のおうちに送り返してやる。下水道で一生を過ごすといい」

ズキッズキッ

勇者「いや……だ」



137

--魔王城--

もう嫌だもうたくさんだなんでいつも私だけこんな!!

ズキズキズキ

勇者「やめさせろおおおおお!!」

魔王「すでに……遅いのだ」

勇者「!!……うわあああああああああああ!!」

勇者は剣を取り魔王に斬りかかる。

魔王「……ふんっ」

バチン

魔王が指を鳴らした衝撃波で、勇者は後ろの壁に叩きつけられる。

ドゴオオン

勇者「がっはぁ!!」

魔王「それは余の指パッチンじゃ」



138

--魔王城--

勇者「がはっ、げほっ!!」

魔王「もうやめろ少女。こんなことをしてもちっとも楽しくない。我はSではなくMなのだ。MAOUの頭文字はマゾのMなのだ」

勇者「……何を言って」

魔王「考えてもみよ、世界征服世界征服と言うだけで本気で世界を征服するわけでもなく、勇者に倒されるためだけに、勇者が育ってくるのを魔王城の玉座で延々と待つのだ。Mとしか言いようがあるまい?」

勇者「そんな話はどうでもいい!!」

魔王「……たく人の話を聞かぬ少女よ。あ、人じゃねぇや」

勇者「守りたいもの。一つだけあった」

魔王「……」

勇者「仲間だ」

魔王「……」

勇者「賢者と魔法使いと闘士と踊子と……盗賊だ」

魔王「……」

勇者「後の人間はどうなってもいい。好きにしてくれていい」

魔王「……」



勇者「……だから見逃してくれ」

魔王「……お前はいつも決断が遅いのだ」



139

--魔王城--

踊子「あも4りy8gた948qhj3えいふぁlkjrが;!!!!!」

踊子は暴走した。

賢者「なんだあれ……ありえない」

闘士「う……ぐ?」

待望の闘士の復活。しかし賢者はそれに気付かないほど、目の前の光景に意識を握られていた。

踊子「84ゆくぁ3お984あえjがえをkふぁえをgjq34ち!!??」

ワーウルフ「!!!っぐう」

踊子の体の至る所から出血し始めた。そしてそれは魔力を帯びていて。

バリバリバリィ!!

彼女が使えない筈の、

ゴオオオオオ!!

色んな属性の魔法を発現していた。

盗賊「なんだかやばそうではあるが、チャンス……だな」

盗賊は身体機能のほとんどが停止していた。目は霞み、頭は朦朧としている。
盗賊が今頼ることができるのは、相手の弱点、本質を見抜く透視眼のみである。

たった一回、おそらく一回。
最初で最後のチャンスを迎えるために盗賊は走っている。



140

--魔王城--

ワーウルフ(……残存体力は残り八割程度。十分余力がありますね。削り殺すもよし、一気に決めるもよし)

踊子「あお84gはいじょっらおれwgじゃれがれg!!!」

フォン!

ワーウルフ(……っと。しかし気味の悪い連中だ。死にぞこないの男性は何かを狙っているようだし、この女性は何かキマッてしまっている)

闘士「ぬぅぅん!!」

ドゴオオン!!

闘士「かわ、された!」

ワーウルフ(……また追加ですか。床に穴を開けるだなんて、なんてパンチ力だ)

ヒュカ

ワーウルフは爪で闘士の腹を裂こうとしたが、

ビキッ

ワーウルフ(……いい筋肉ですね。はじかれるとは)

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