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141

--魔王城--

朦朧とする意識の中で、賢者は意識が飛ばないように必死に耐えていた。

賢者「う……っぐ」

自分を回復する魔力くらいならまだ残っていた。だけれどもその魔力の使い道は決めていたのだ。

ワーウルフ「っぬ!!」

初手で完全に決まったと思っていた。いや決まっていた。4人のうち3人を戦闘不能に追いやったのだから。
それがなんだ今では。
決め手に欠けて、一気に勝負をつけることができず、地味な削り合いしか出来ていない。

ワーウルフ「……ぬぅ」

それも今まではいいと思っていた。確実な勝利を得たほうがよい。だが何かがチクチクと訴えてくる。
早く勝負を決めるべきだと。

ワーウルフ(……やるか)

盗賊に魔力を奪われていたのが響いていた。今から行う魔法は魔力の消耗が激しく、使ってもし失敗してしまったら勝率が激減する。

だがそれでもやることにした。
ある意味彼もまた追い詰められていたのだ。

ワーウルフ「……物質生成、小月!!」



142

--魔王城--

ワーウルフの頭上に小さな月が現れる。そしてその光を浴びたワーウルフは、一回り大きな銀毛の狼へと変貌する。
何も変わったのは外見だけではない。二足から四足に変わった移動スタイルは、速度の大幅な上昇を実現する。

盗賊はここだと感じた。

盗賊「空間設置魔法罠、カウンタータイプ」

盗賊の宣言とともに、今まで盗賊が走っていた道が赤く光りだす。それはこの部屋全体に書かれた魔法陣のように見える。

ワーウルフ(……空間設置?)

盗賊「今この部屋の中全体を罠にした。動くな」

ワーウルフ(なんだと?……)

闘士「わ、わかった」

踊子「えg489うq94うjごえrhgq-9んgrk……」

ワーウルフ(なぜ私の行動を制限する必要がある……私がこの姿に変貌して戦闘能力が未知数になったからか?いやそれにしてもおかしすぎる。こっちは待ってるだけで勝てるのだ。相手は瀕死状態が三人もいる。その三人が倒れるまで待てばいいだけなのだ。私が絶対に有利なはずなのに……)

ワーウルフは盗賊の顔を睨む。

盗賊「……」

ワーウルフ(何を考えている……!!……時間稼ぎか。私のこの姿は魔力消費が激しいと知ってのことか??)



143

--魔王城--

盗賊「闘士、肉体強化は使ってもいい。動かなければな」

闘士「わ、わかった。攻撃力上昇三段階!!」

ゴオオオオオ

ワーウルフ(変身が解けたところを狙う気か!!確かに変身が解けた瞬間は無防備に……いやまて、あの攻撃をくらったところで私は負けない。……でもあの女性も何かを狙っているのかもしれない……)

踊子「034gjh9849あだrじゃれg……」

ワーウルフ「ッッぐう……」(何を、何を信じたらいい!!)

盗賊「よし、みんなご苦労さん、今罠を解除するよ」

ワーウルフ(罠を解除する?……自分から解く!?やはり時間稼ぎだったのか!!)

グッ

ワーウルフ(ならば何も相手の土俵で戦う必要はない。男性が罠を解除する前に息の根を止めればいい、私にはそれだけのスピードがある。元からこうすればよかったのだ!!)

盗賊「罠か」

ギュン!!

ワーウルフ(私の最高速は!!)

ドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュドシュ!!!!!!

ワーウルフ「がほふっ!!!?」

部屋中から飛んできた魔法の槍が数十本という単位でワーウルフの肉体に刺さっていく。

ワーウルフ「ごぼおおっふ!!」

盗賊「……罠はスピードが速いほど威力があがる……か。なるほど。あんたは俺が見てきた中で最も速い敵だった」



144

--魔王城--

ワーウルフ「な、ヒュー、ヒュー、なぜ」

盗賊「……いや危なかった。この罠はさ、あんたから魔力を奪ったおかげで発動できたもんなんだ。一応スキルとして習得していたんだが

俺の魔力じゃ発動できなくてさ」

ワーウルフ「ヒュー、ヒュー」

盗賊「……維持だけでもすごい魔力使うから、あんたがあの時間内に動いてくれなかったらどうしようかと思った」

ワーウルフ「ヒュー、ヒュー……」

盗賊「じゃあ姫様が待ってるんでな。二人とも、頼んだ」

グシャっ



145

--魔王城--

勇者は子供のように泣いている。
剣を捨て、ガントレットのまま涙をぬぐう。

ドォン……

城の上のほうで破砕音がした。

魔王「……決着がついたようだな」

勇者はもう立つことすらできなかった。
もう立つ意味を持てなかった。

魔王「いっそひとおもいに殺してやるべきか……」

魔王の掌にかつてないほどの魔力が圧縮される。
勇者は今までの経験上、無意識のうちに体が身構えたが、抵抗することを意識が拒絶した。

魔王「……さらば。下水道の少女」


ドゴオオオオオオオオオオン!!!!



146

--魔王城--

魔王「……!」

勇者「……」

突然魔王の魔力が爆発した。

勇者「……なに……が」

その時




上から声が聞こえた。



賢者「見たか魔王!!魔法暴発レベル4!!いくら強いと言えど、自分の魔力は痛かろうです!!」

踊子「……あ~それはいいんですけどわたしたち~……どうやって着地するんです?」

盗賊「あれ?なんでこんなとこにいるのおばあちゃん……え?そうなんだ。へぇ。おばぁちゃん死んでた気がするんだけどさ。ははっ」

踊子「盗賊さんはイキかけちゃってますね~」

闘士「あばばばばばばばば!!」

ヒュウウウウウウウウウウウウウウウウウドオオオオオオオン!!

闘士は咄嗟にみんなの下に入り、落下の衝撃を緩和する。実に筋肉とはすばらしいものである。

勇者「……あ」

踊子「いたた。なんとかなりましたね~。闘士さん両足複雑骨折くらいですんで」

闘士はいきたえた。

踊子「すまないですよね~ww」



勇者「……みんなぁ」

勇者の仲間が落ちてきた。



147

--魔王城--

賢者「勇者さん!!ご無事ですか!?魔王は僕が倒しましたよww」

踊子「あ~!!アイテムいっぱいある~。もしかして勇者さんが独り占めしてたんですか~?どこに隠して、あ、パッドかwwwww」

盗賊「おじいちゃん、今年は墓参り行けなくてごめんよ。いろいろ大変だったんさ。ん?あ、ああ、彼女できたんだけどさwww」

踊子「早く回復しやがれ」

グビ

盗賊「おふぅ!!」

盗賊は全快した。

魔王「誰が……倒されたって?」

賢者「んな!?まさか!!あの魔力でレベル4の暴発を……しかも0距離で……」

魔王「お前は……自分の涎でダメージを受けるのか?」



148

--魔王城--

盗賊「あ、勇者さん、おひさしゃーす」

勇者「あ、あう……そ、それどころじゃ」

盗賊は勇者の顔を見つめている。
踊子は闘士の口とけつに回復薬を突っ込んだ。
賢者は自分で飲むようの回復薬を探している。

魔王「……あの」

魔王は何をしていいのかわからない。

盗賊「てめぇ……」

魔王「む?」

盗賊「俺の勇者を泣かしやがったな!?」



149

--魔王城--

踊子「いやこの貧乳抱き枕はわたしのですから~」

盗賊「なにッ!?」

賢者が飲んだ薬は期限が切れていた。

賢者はいきたえた。
闘士が生き返った。

勇者「……」

踊子「あぁ!!もうめんどくさいですねぇうちの男どもは!!」

踊子は蘇生薬だの回復薬だのすべて賢者の口に流し込んだ。

賢者「ごべはぁ!!」

賢者はいきかえった。

賢者「ぬ?!しかも……ありえないほど力が湧いてくる!!」

ドーピングだった。

勇者「……ふふっ」



150

--魔王城--

魔王「……」(随分とペースを狂わせてくれる……ハチャメチャだな)

魔王の心にハチャメチャが押し寄せてくる。

魔王(こやつらがここにいるということはワーウルフは……)

そうか

魔王はつぶやく。

魔王「俺を残してみんないっちまったか……」

盗賊「さぁーて」

今、魔王の眼前には5人の人間が立っている。

賢者「こちらは万全の状態に戻りましたよ。待っててくれてありがとうございました」

踊子「でもこっちは容赦無用に数の暴力しかけるのでよろしく~」

闘士「ウホッ! いい魔王……」

勇者が……立ちあがった。
そして剣を手に取り、魔王へ向ける。

勇者「……魔王、これが私の仲間たちだ。守りたいものだ」

魔王「……ふむ」



勇者パーティがあらわれた!!!!

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