SSとか小説を載せるかもしれません。
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--誰かの過去--
私の最初の記憶。
それは下水道で生活していた時のもの。
暗くてジメジメしていて汚い水が流れている。でもそれが世界の全てだと思っていた。
??「あら、ここにいたの。あんまり動いちゃだめだと言ったでしょ」
?「うん、でもねずみさんがいたのー!」
今考えるとおかしな話だが、私は喋る白い色のワニと暮らしていた。
??改め白ワニ「ほら食べ物を持って来たよ。いつものきれいな場所で食べようね」
?「うんー!!」
どういう経緯で白ワニと出会ったのかわからないが、私にとって白ワニは親のようなものだった。
白ワニ「最近上の人間達が私達に気づいたようなの。そろそろ引っ越しをしようと思うのよ」
?「わかったー」
--誰かの過去--
私の最初の記憶。
それは下水道で生活していた時のもの。
暗くてジメジメしていて汚い水が流れている。でもそれが世界の全てだと思っていた。
??「あら、ここにいたの。あんまり動いちゃだめだと言ったでしょ」
?「うん、でもねずみさんがいたのー!」
今考えるとおかしな話だが、私は喋る白い色のワニと暮らしていた。
??改め白ワニ「ほら食べ物を持って来たよ。いつものきれいな場所で食べようね」
?「うんー!!」
どういう経緯で白ワニと出会ったのかわからないが、私にとって白ワニは親のようなものだった。
白ワニ「最近上の人間達が私達に気づいたようなの。そろそろ引っ越しをしようと思うのよ」
?「わかったー」
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--誰かの過去--
私達は定期的に住む場所を変えていた。
白ワニが言うには、人間達に見つかると悪いことが起きるらしい。
何も知らなかった私は、それをまるで遊びのように感じて喜んでいた。
白ワニ「はっ、はっ」
?「どうしたのー!?」
白ワニ「大丈夫、なんでもないのよ。さぁ、ソーセージよ。たんとおあがり」
白ワニは頭から血を流して帰って来た。
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--誰かの過去--
今だからこそわかるが、私が当時口にしていた食糧は全て白ワニが人間から奪ってきたものだった。
その時の姿を人間に見られてしまったのだろう。
私達の引っ越しはその日のうちに行われることになった。
バシャン
?「ん?なんか音がしたー」
白ワニ「!?人間が……追って来たんだわ!!逃げるわよ!!」
?「あう」
私の手からこぼれ落ちたソーセージが下水にダイブした。
ドポン
人間A「おい、今あっちから音がしたぞ!!」
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--誰かの過去--
白ワニ「気付かれた!!……先にお逃げ……!!」
白ワニは私に先に行けと道を譲る。
?「白ワニはどうするの??」
白ワニ「いいからお逃げ!!早く!!」
?「う、うん」
白ワニ「この子には指一本触れさせはしないよ!!」
白ワニは元来た道を逆走していった。
私は言われた通りに逃げようとしたのだが、どこに逃げたらいいのかわからなかったので、結局白ワニが戻ってくるのを待つことにした。
?(んしょ、ここに座って隠れてればいいよね)
人間B「うわ!!ワニだっ!!ワニが出たぞ!!みんなこっちに来てくれ!!」
人間A「なんと恐ろしい……!噂に聞いた通り、真っ白だ……悪魔の手先に違いない!!」
白ワニ「グアア!!」
今までに一度も聞いたことがない威嚇のような声を、白ワニは人間に向けてはなっていた。
白ワニ「ゴオオオオオアア!!」
白ワニ「こっちにくるな!!」
人間C「こいつ吠えて威嚇してやがる!!」
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--誰かの過去--
バキっ
グシャっ
何かを叩き潰す音が下水道に響いている。
白ワニの声はもう聞こえない。
?(どうしたのかな?)
あの角の向こうで何が起こっているのか、私は行ってみたい衝動に駆られた。
??「なぁんですかぁ!?白いワニ死んじゃってるんじゃないですかぁ?せぇぇっかく貰いにきたというのに」
?(……え?)
人間B「団長さん。そうは言ってもこいつを生け捕りは無理ですよぉ。いきなり襲いかかってきたんですよ?」
団長「そうは言ってもねぇ。せっかくうちのサーカスの目玉になると思ったのに……」
?「白ワニ?……」
私は我慢できず出て行ってしまった。
人間C「!?お嬢ちゃん?なんでこんなとこに!!危ないよ!!」
そこには鉄の棒や農具で滅多打ちにされた白ワニの死体があった。
?「ひっ!!」
団長「おやぁ」
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--誰かの過去--
団長「この子はこんなみすぼらしい格好をして……どういうことなんでしょうね」
?「あう」
人間B「お嬢ちゃん、どこのお子さんだい?」
?「あうあうあう」
人間A「ありゃ。ちょっとショッキングなものを見せちゃったかなぁ……」
?「あうー!あうー!!」
団長「ふむ……」(白いワニに寄り添っている?……ほぉ)
団長「ワニに育てられた少女といったところですか。面白い。この子は私が頂いていきます」
今の時代でこんな発言をしようものなら速攻で捕まるだろう。
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--誰かの過去--
団長「お次は本日のメインイベント!!皆さまお待ちかね、世にも珍しい、全六属性全ての魔法を使える少女の登場でーす!!」
湧き立つ観客を前に、私はお立ち台の上でスポットライトを当てられる。
そして私はお姉さんが持っている板の色を見て、その属性の魔法を使うのだ。
ワーワー
お姉さんは青の板を掲げる。
私は水属性魔法を噴水のようにして発動させた。
観客は沸き起こる。
ワーワー
最初は青と水色の判断を間違えて、よく団長に怒られていた。
お姉さんは黄色の板を上げる。
私は雷属性魔法を使った。
団長(最初はワニ少女として拾ってきたのに……とんだひろいものでしたよ)
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--誰かの過去--
お姉さん「お疲れ様。精神的に疲れちゃうんでしょ?魔法って。はい、水」
?「あり、がとー」
お姉さんはやさしくしてくれた。多分彼女の過去も私に似ていたんだろう。
??「よっ」
休憩室に一人の男の人が入って来た。
??「やっぱりだめだ。あの子は感情を無くしちまったのかもしれない」
お姉さん「あ、お兄さん。……あの子って」
??改めお兄さん「あの子だよ。二週間前に団長が拾ってきた……」
私と同世代の男の子。
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--誰かの過去--
新しく入って来た男の子は何も喋らなかった。何も食べなかった。
たまにコップで水を置いておくと空になっていたが、それだけで栄養が足りるわけもなく、男の子はだんだんとやせ細っていった。
?「なんで、なにも、たべないの?」
返答は返ってこない。
?「なんで、なにも、しゃべらないの?」
返答は返ってこない。
なんでそんな子を団長が拾ってきたのか。
足が五本ある熊や飼いならされて羽をもがれたペガサスと比べて何も特別なことはない。
?「これ、おみず」
私が水の入ったコップを渡そうと檻に入った時、足をひっかけて転んでしまった。
?「あくっ」
バシャ
水は男の子にかかってしまった。
?「ごめ、なさい!いま、ふくから」
男の子の頭を拭いていて初めてこの子が連れてこられた理由がわかった。
男の子の頭からは、小さな角が生えていたのだ。
70
--誰かの過去--
?「あ、おはよう」
男の子「おはよう……」
それから大分経って、私達は少しだけ話すようになった。男の子はちゃんと食事をとるようになり、依然と比べて大分健康的になった。
お姉さん「お~少年~。どうだい?ここには慣れた?」
男の子「まぁまぁ……」
男の子は依然として暗かったが、誰かと喋っている姿を見てなぜか私は喜びを感じていた。
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