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71

--誰かの過去--

王国からえらい人がやってきたらしい。なんでも私の噂を聞いて来たそうだ。

団長「いやいやそうはおっしゃられましてもぉ。あの子は我がサーカス団の顔なんですよぉ」

??「好きなだけ金を払ってやる。いくらがいい?」

団長「……そうですかぁ。では100億用意して頂きましょうか」

??「……」

団長「貴方様が本当に王国の使者で、それほど重要だと言うのであればそれくらい払えるでしょう?」

??「……わかった。明日までに持ってこさせよう」

団長「なぬ!?」



72

--誰かの過去--

私はまた売られるらしい。

団長「ふぅーむ……」

団長はずっと唸っていた。
私を売ったほうが儲かるのか、売らないほうが儲かるのか計算していたのだろう。
そして相手が本当の王国の使者だった場合、有無を言わさず手放さなければならないということも頭にいれて……。

団長「ふむぅ。決めました……お姉さんや、あの子を私の部屋に」

お姉さん「!!……わかりました団長」



73

--誰かの過去--

?「それでねー、わたしねー」

男の子「ねぇ……一つ聞いていい?」

?「ん?なぁに?」

男の子「君は人間のこと、どう思う」

?「え」

男の子「人間」

?「ん……」

私は白ワニが殺された時のことを思い出していた。
つまり私の親が人間に殺されたということを。

?「団長もあの人たちも嫌い」

男の子「……」

?「でもお兄さんやお姉さんや、男の子は好きだよ」

男の子「……僕は人間じゃないよ」



74

--誰かの過去--

?「え?人間だよぉ」

男の子「違う」

彼は亜人種。当時の私は知らない言葉。

男の子「人間なんて」

カンカンカンカン

私達の檻部屋に誰かが降りてきた。

?「あ、お姉さんだ。どうしたの?もう夜だよ?」

お姉さん「うん……ちょっとね……あの」

?「?なぁに?」

男の子「行かない方がいい」

お姉さん「っ!?」



75

--誰かの過去--

男の子「行かない方がいいよ」

?「?なんのお話?」

私は振り返って男の子に聞いてみた。

お姉さん「……ちょっと来て、お話があるらしいの……団長が」

?「私に?」

お姉さん「うん……」

私は男の子の言葉が気になったが、団長に逆らうことなどできるはずもなく、素直に行くことにした。

ぐいっ

?「あう」

私の服を男の子が掴んでいる。

男の子「……」

?「お話してくるね。終わったらまたお話しよう」

男の子「……」

男の子は諦めたように手を離した。



76

--誰かの過去--

お姉さんは団長の部屋の前までついてきてくれた。

お姉さん「……」

でもお姉さんの顔はいつもと違っておかしかった。

?「どうしたの?」

お姉さん「え!?あ、いや……大丈夫よ」

お姉さんは仕方が無かったのだ。
団長の部屋につくとお姉さんは言った。

お姉さん「じゃあ……私はここまでだから」

?「うん、ありがとー」

お姉さん「……ごめんね」

?「?なんで謝るの?」



77

--誰かの過去--

?「お邪魔しまぁす」

ギィ

団長の部屋に入るのは初めてだった。

団長「やぁよくきたね」

私が団長に向かって歩きだした時に、何気なく上を見上げたのがいけなかった。

?「ひっ」

天井には白ワニの皮が装飾品として貼り付けられていた。



78

--誰かの過去--

団長「あぁこれですか。見覚えがあるでしょう。下水道の主ですよ」

?「ひぃっ」

白ワニを殺されたシーンが脳内で再生される。

団長「白くてきれいですよねぇ……まったく農民の馬鹿が。この白い皮の価値を知らずに滅多打ちにしやがって。まぁそれでも仕方なく飾っているんですがねぇ」

団長は立ち上がり、震える私に歩み寄る。

団長「おやどうしたんですか震えて」

?「ひっ、うくっ」

ひどい。
ひどい。

私の家族をこんな……

団長「嫌なんですよぉ勝手に泣かれてしまうのは」

団長はハンカチを取り出し、私の涙を拭う。

団長「泣かすのが好きなんですから」



79

--誰かの過去--

ひどい。
ひどい。
ひどいたいひどい。

ひどいひいたいどいひどいひd
人間なn



80

--誰かの過去--

目を覚ました時は全てが燃えていた。
サーカス会場は潰れ、団員は千切れて、団長は鉄の棒に貼り付けられていて。

ゴオォオウ

人の死体の山の上に誰かが立っている。

男の子「……君の心の声が聞こえた」

?「あ、あう……う」

男の子はまっすぐにこちらを見ていた。
男の子の頭の角は心なしか大きくなっているように見える。

男の子「……」

?「ひうっ、いっく」

もう何が何だかわからなかった。この世はあまりにひどいことが多すぎる。

男の子「……」

そして私が泣いている間に男の子の姿は見えなくなっていた。

ザっ

??「これは!!……ん?君!大丈夫か!?」

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