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211

--ある廃村--

2週間後。

勇者「こらー!覗くなって言ったじゃん!」
 
勇者は風呂場から出てくるなり大声で怒鳴った。

勇者「あれだけ覗くなって言ったのに……もう!!盗賊のエッチ!!」

勇者は顔を真っ赤にしている。

勇者「踊子も踊子だよ!勝手に入って来て洗いっこしようとかいって入ってくるんだもん……ってちょ!賢者鼻血!!」

どたばた

勇者「もういいよ!!闘士!!賢者連れてっちゃって!!……あはははは!!」

勇者はケタケタと笑っている。

勇者「あははは!本当に連れてかれちゃった。あーお腹痛い。ねー魔法使い、毎日ずっと笑っててお腹痛くならないの?」

勇者は笑いすぎて出てきた涙を拭った。
212

--ある廃村--

上級兵「ここか……」

ギィ

上級兵「うっ!!すごい臭いだ……」

男は強烈な腐臭に顔をしかませる。

魔王勇者「アレエエェエエ?ダレカキタヨォォォ?」



五人の腐乱死体の真中で、ケタケタと笑う化物がいた。

上級兵「くっ!!この化物がああ!!」

上級兵は剣を抜き、斬りかかった。

魔王勇者「 アハハハハハハハハハハハハハハハハキミハワタシヲチャントコロシテクレルノカナ?」



213

--王国、王座の間--

王様「勇者と盗賊王は相討ちか」

受付「えぇ。見事なまでに邪魔者同士で潰し合ってくれました」

王様「勇者因子は断った……これで、このサイクルから抜け出せたのだろうか」

受付「それはわかりません。これから何年も何十年も、ずっと生きていかない限り……」

王様「これでも運命から逃れられないのであれば……死んでいった者達は浮かばれんな」

受付「死者よりも生者。です主様」

王様「わかって、おる」

大賢者「……対勇者用に作った人造勇者はどうする?」

受付「もはや用無しですね。むしろ勇者因子の残り香ですから、一刻も早く処分しなくては」

王様「そう、なるか」

受付「はい。まだ完成前でよかったです」

大賢者「……むごいな。全て人のためだというのに」



214

--王国--

かちゃかちゃ

看護師「気分はどうですか?」

部隊長D「えぇ、もう大分よくなりました」

看護師「あなたの仲間は既に退院してますよ、これから貴方達は罪を償うために王国に従事していただきます。よろしいですね?」

部隊長D「はい……あ、あの、盗賊王……という人はどうなったんでしょうか?」

看護師「さぁ、私はここにいる方のことしか存じ上げませんので……」

部隊長D「そうですか……ありがとうございます」

部隊長Dは窓から外を眺める。
ふと風を感じたくなって窓を開ける。

ザァ

カーテンが風に揺れている。
太陽の日差しと窓から入ってくるそよ風が心地よい。

かたっ

部隊長Dはテーブルの上に置かれたイヤリングに気付く。

部隊長D「あれ……妹にもらったイヤリング……なんでここに……?」



       勇者募集してたから王様に会いに行った・外伝
          盗賊だけど今日勇者に解雇された

                完

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