SSとか小説を載せるかもしれません。
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81
--王国、路地裏--
ドカドカドカドカ
走り回る憲兵達。
勇者「……」
盗賊「……」
路地裏に隠れている盗賊と勇者。
盗賊「あいつちくりやがった……」
勇者「……」
盗賊「くそ、そんなに連発して使えないっていうのによぉ。ちょっと回復したから行こうぜ勇者」
勇者「どこに行くの?」
盗賊「……俺んち」
勇者「……あ」
盗賊「俺んち今日家族いないんだ」
勇者「パス」
--王国、路地裏--
ドカドカドカドカ
走り回る憲兵達。
勇者「……」
盗賊「……」
路地裏に隠れている盗賊と勇者。
盗賊「あいつちくりやがった……」
勇者「……」
盗賊「くそ、そんなに連発して使えないっていうのによぉ。ちょっと回復したから行こうぜ勇者」
勇者「どこに行くの?」
盗賊「……俺んち」
勇者「……あ」
盗賊「俺んち今日家族いないんだ」
勇者「パス」
82
--自宅--
盗賊「ん。本当にいないみたいだな」
勇者「……お母さんに会いに来たの?」
盗賊「んー?んー……どうだろう。でも心配かけちゃったし迷惑もかけちゃったみたいだしさ」
盗賊は自宅のポストに書かれているらくがきを指で撫でる。
勇者「……」
盗賊「うし、これ置いていこう」
盗賊はマフラーを取ると玄関にそっと置いた。
勇者「……それだけでいいの?お母さんに挨拶しなくて本当にいいの?」
盗賊「いいさ。今更会ったって……あ」
勇者「?」
盗賊「HDDの中身消すの忘れてたんだった……」
勇者「あ?」
83
--自宅--
盗賊「懐かしいなぁ。よくこうやって塀をよじ登って部屋に入ったんだよ。あ、鍵しまってる」
勇者「そりゃそうだ」
盗賊「スキル、施錠解除」
カシン
盗賊「よし開いた」
勇者「どの道それ使うなら玄関から行ってもよかったんじゃないの……?」
盗賊「うわーすげぇ懐かしい」
勇者「お邪魔……します」
盗賊「うわー!俺彼女自分の部屋に入れちゃったよ!!」
勇者「はいはい」
盗賊「うわ否定しねぇ」
勇者「!?」
盗賊「……今日だったのか」
勇者「何が何が!?ねぇ何が!?」
84
--自宅--
盗賊「と、とりあえじゅ、HDDの中身けしゃなくちゃな……ごほっ」
勇者「……」
ガチャガチャガチャ!!バタンっ!!
盗賊「!?」
ダダダダダダダダダ!!
誰かが階段を駆け上がる音が聞こえる。
盗賊「まずい母ちゃんだ!!彼女部屋に入れたことがばれる!!」
勇者「え?え?そういう問題なのっ!?」
母「盗賊!?盗賊いるの!?」
バン!!
盗賊(あぶねぇ……鍵閉めといてよかった……)
母「鍵……ね、ねぇいるんでしょ盗賊!!」
勇者「……」
85
--自宅--
母「お前今一体なにをやってるんだい!!」
盗賊(HDDの中身を消してます)
母「あの時広場で、みんなの前で魔族を連れて逃げて!!それでそのままお尋ね者だなんて……どうしてそんなことになったのよ!!」
盗賊「……」
母「母ちゃんもういつも心配だったよ……お前がニートになった時も心配だったし、お前がいきなり旅に行くって言って出ていった時も心配だった!!……それにとうとう……賞金首だなんて……うぅ……」
盗賊(母ちゃん……)
母「……世界を敵に回してでもやらなきゃいけないことなのかい?それは……」
盗賊(あぁ……例え世界を敵に回してでも、HDDの中身を見られるわけにはいかない)
勇者(真剣な表情……)
母「……例え大そうな意思や目的があったとしてもだよ……母ちゃんからしたらそんなの嫌なんだよ。安全で幸せに生きてくれてさえすればいいんだよ!!」
盗賊「……」
ガチャリ
母「!?鍵が……盗賊!?」
母は部屋のドアを開ける。
86
--自宅--
母「……」
開けっぱなしの窓から見える夕焼け空。
カーテンは風に揺れている。
母「盗賊……」
母はエプロンで顔を押さえた。
ガリガリガリキュイーン
母「?」
つけられたままのパソコン画面にはメモ帳が表示されていた。
母「これ……」
カチ
『母ちゃんごめん。俺、どうしてもやらなきゃならないんだ。全部話すと長くなるし、母ちゃんに迷惑がかかっちゃう可能性もあるから言えないけれど。でも今俺、生きてるって感じがするよ。好きな人を、守りたい人を守ってるんだ。守りきれてないんだけど……。だから心配しないで欲しい。いつかまた、ちゃんと帰ってこれるようになったら母ちゃんのシチュー食いにくるから。
だからそれまで元気に生きてくれ。盗賊』
母「………………馬鹿だねぇ」
もう一度母はエプロンを掴む。
87
--草原--
盗賊「あぐ、ひぐっ!お、おがあちゃあああん!!」
勇者「あんだけかっこよさげな別れ方しておいてこれすか……」
勇者のどんびき顔はすでに定着しつつある。
盗賊「だ、だっでおで、い、いっばい迷惑がげだじ!!ま、ママー!!」
勇者「……はぁ」
勇者は盗賊に近寄ると前から抱きしめた。
勇者「仕方ないなぁ。私の方がお姉さんだから胸を貸してあげる」
盗賊「え?すでに貸出中でここにおいてないんすけど」
ドゴッ!!
勇者の膝蹴りが盗賊の顎を砕く。
盗賊「ごひゅん!!」
勇者「はぁ、はぁ!!な、なんで慰めてあげようとしたほうが涙目にならなくちゃなんないのよ!!」
結局二人で泣いた。
--王国--
???「お呼びで?」
大臣「うむ……国王や妃はあぁ言ってはいるが、やはり万全を期したい」
???「……」
大臣「ゆけ。勇者と魔族をうちとってこい。全ての責任は私が持つ」
???「了解しました」
88
--砂漠--
勇者「ね、ねぇ本当にこっちであってるの?」
盗賊「あぁ……多分合ってる多分こっち」
勇者「本当に?もう何時間も景色変わらないんだけど……」
盗賊「だって露天で手に入れた地図にはそう書いてあるんだもん。ほら」
盗賊は日本地図を差し出した。
盗賊「日本てどこだーーーーーー!!」
勇者「私にキレさせろーーーーー!!」
ゴオオオオオ!!
盗賊「……ん?」
ゴオオオオオオオオオオオ!!
勇者「ま、まずい砂漠の竜巻だ!!」
盗賊、勇者「ぎゃああああああああああ!!」
89
--失われた王国--
ぴちょん
勇者「ん……ここは」
??「気がついたか?」
ぼんやり
勇者「あ、うん。ここはどこ?盗賊」
??「俺は盗賊じゃぁねぇぜよ」
勇者「!!」
ガバッ
勇者は飛び起きた。
??「んん。元気があってよろしいぜよ」
髭面長髪のホームレス的存在がいた。
勇者「貴方は……だれ?」
??「俺か?俺は護皇だぜよ」
90
--失われた王国--
勇者「護皇って確か……」
盗賊「お、気付いたか勇者」
勇者「あ、盗賊」
??改め護皇「なんだこっちの男のことかぜよ」
盗賊「やべぇよここ果物超おいしいよ、ほら」
盗賊は葡萄をひと粒勇者の口に入れた。
勇者「あむ。本当だ、おいしい」
護皇「そらそうだ、ここの果物はなんでもうめぇ。ここは楽園だからな」
勇者「楽園……?」
護皇「そ。あと盗賊とかいったそこのやつ。無銭飲食で逮捕」
盗賊「ぶっ!!」
--自宅--
盗賊「ん。本当にいないみたいだな」
勇者「……お母さんに会いに来たの?」
盗賊「んー?んー……どうだろう。でも心配かけちゃったし迷惑もかけちゃったみたいだしさ」
盗賊は自宅のポストに書かれているらくがきを指で撫でる。
勇者「……」
盗賊「うし、これ置いていこう」
盗賊はマフラーを取ると玄関にそっと置いた。
勇者「……それだけでいいの?お母さんに挨拶しなくて本当にいいの?」
盗賊「いいさ。今更会ったって……あ」
勇者「?」
盗賊「HDDの中身消すの忘れてたんだった……」
勇者「あ?」
83
--自宅--
盗賊「懐かしいなぁ。よくこうやって塀をよじ登って部屋に入ったんだよ。あ、鍵しまってる」
勇者「そりゃそうだ」
盗賊「スキル、施錠解除」
カシン
盗賊「よし開いた」
勇者「どの道それ使うなら玄関から行ってもよかったんじゃないの……?」
盗賊「うわーすげぇ懐かしい」
勇者「お邪魔……します」
盗賊「うわー!俺彼女自分の部屋に入れちゃったよ!!」
勇者「はいはい」
盗賊「うわ否定しねぇ」
勇者「!?」
盗賊「……今日だったのか」
勇者「何が何が!?ねぇ何が!?」
84
--自宅--
盗賊「と、とりあえじゅ、HDDの中身けしゃなくちゃな……ごほっ」
勇者「……」
ガチャガチャガチャ!!バタンっ!!
盗賊「!?」
ダダダダダダダダダ!!
誰かが階段を駆け上がる音が聞こえる。
盗賊「まずい母ちゃんだ!!彼女部屋に入れたことがばれる!!」
勇者「え?え?そういう問題なのっ!?」
母「盗賊!?盗賊いるの!?」
バン!!
盗賊(あぶねぇ……鍵閉めといてよかった……)
母「鍵……ね、ねぇいるんでしょ盗賊!!」
勇者「……」
85
--自宅--
母「お前今一体なにをやってるんだい!!」
盗賊(HDDの中身を消してます)
母「あの時広場で、みんなの前で魔族を連れて逃げて!!それでそのままお尋ね者だなんて……どうしてそんなことになったのよ!!」
盗賊「……」
母「母ちゃんもういつも心配だったよ……お前がニートになった時も心配だったし、お前がいきなり旅に行くって言って出ていった時も心配だった!!……それにとうとう……賞金首だなんて……うぅ……」
盗賊(母ちゃん……)
母「……世界を敵に回してでもやらなきゃいけないことなのかい?それは……」
盗賊(あぁ……例え世界を敵に回してでも、HDDの中身を見られるわけにはいかない)
勇者(真剣な表情……)
母「……例え大そうな意思や目的があったとしてもだよ……母ちゃんからしたらそんなの嫌なんだよ。安全で幸せに生きてくれてさえすればいいんだよ!!」
盗賊「……」
ガチャリ
母「!?鍵が……盗賊!?」
母は部屋のドアを開ける。
86
--自宅--
母「……」
開けっぱなしの窓から見える夕焼け空。
カーテンは風に揺れている。
母「盗賊……」
母はエプロンで顔を押さえた。
ガリガリガリキュイーン
母「?」
つけられたままのパソコン画面にはメモ帳が表示されていた。
母「これ……」
カチ
『母ちゃんごめん。俺、どうしてもやらなきゃならないんだ。全部話すと長くなるし、母ちゃんに迷惑がかかっちゃう可能性もあるから言えないけれど。でも今俺、生きてるって感じがするよ。好きな人を、守りたい人を守ってるんだ。守りきれてないんだけど……。だから心配しないで欲しい。いつかまた、ちゃんと帰ってこれるようになったら母ちゃんのシチュー食いにくるから。
だからそれまで元気に生きてくれ。盗賊』
母「………………馬鹿だねぇ」
もう一度母はエプロンを掴む。
87
--草原--
盗賊「あぐ、ひぐっ!お、おがあちゃあああん!!」
勇者「あんだけかっこよさげな別れ方しておいてこれすか……」
勇者のどんびき顔はすでに定着しつつある。
盗賊「だ、だっでおで、い、いっばい迷惑がげだじ!!ま、ママー!!」
勇者「……はぁ」
勇者は盗賊に近寄ると前から抱きしめた。
勇者「仕方ないなぁ。私の方がお姉さんだから胸を貸してあげる」
盗賊「え?すでに貸出中でここにおいてないんすけど」
ドゴッ!!
勇者の膝蹴りが盗賊の顎を砕く。
盗賊「ごひゅん!!」
勇者「はぁ、はぁ!!な、なんで慰めてあげようとしたほうが涙目にならなくちゃなんないのよ!!」
結局二人で泣いた。
--王国--
???「お呼びで?」
大臣「うむ……国王や妃はあぁ言ってはいるが、やはり万全を期したい」
???「……」
大臣「ゆけ。勇者と魔族をうちとってこい。全ての責任は私が持つ」
???「了解しました」
88
--砂漠--
勇者「ね、ねぇ本当にこっちであってるの?」
盗賊「あぁ……多分合ってる多分こっち」
勇者「本当に?もう何時間も景色変わらないんだけど……」
盗賊「だって露天で手に入れた地図にはそう書いてあるんだもん。ほら」
盗賊は日本地図を差し出した。
盗賊「日本てどこだーーーーーー!!」
勇者「私にキレさせろーーーーー!!」
ゴオオオオオ!!
盗賊「……ん?」
ゴオオオオオオオオオオオ!!
勇者「ま、まずい砂漠の竜巻だ!!」
盗賊、勇者「ぎゃああああああああああ!!」
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--失われた王国--
ぴちょん
勇者「ん……ここは」
??「気がついたか?」
ぼんやり
勇者「あ、うん。ここはどこ?盗賊」
??「俺は盗賊じゃぁねぇぜよ」
勇者「!!」
ガバッ
勇者は飛び起きた。
??「んん。元気があってよろしいぜよ」
髭面長髪のホームレス的存在がいた。
勇者「貴方は……だれ?」
??「俺か?俺は護皇だぜよ」
90
--失われた王国--
勇者「護皇って確か……」
盗賊「お、気付いたか勇者」
勇者「あ、盗賊」
??改め護皇「なんだこっちの男のことかぜよ」
盗賊「やべぇよここ果物超おいしいよ、ほら」
盗賊は葡萄をひと粒勇者の口に入れた。
勇者「あむ。本当だ、おいしい」
護皇「そらそうだ、ここの果物はなんでもうめぇ。ここは楽園だからな」
勇者「楽園……?」
護皇「そ。あと盗賊とかいったそこのやつ。無銭飲食で逮捕」
盗賊「ぶっ!!」
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