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181

--軍団長室--

コンコン
 
軍団長「誰だ」
 
城内兵士「はっ、賢者様が軍団長殿にお話があるとのことで」
 
軍団長「賢者?……わかった」
 
ガチャリ
 
軍団長が部屋の扉を開けると、そこには兵士に付き添われた賢者の姿が。
 
軍団長「もう行っていい」
 
城内兵士「はっ!」
 
ガシャガシャガシャ
 
賢者「やぁ。まともに話をするのは、久しぶりだね」
 
軍団長「……」
182

--軍団長室--

賢者「さっき受付さんに会ってきた。これからは僕もこの城で働くことになるよ」
 
軍団長「!」
 
賢者「パーティから抜けた……だからよろしくを言いに来たんだ」
 
軍団長「……賢者さん」
 
賢者「うん」
 
軍団長「」
 
軍団長はスッと手を伸ばす。
 
賢者「あ、握手か。本当無口になりましたね」
 
賢者は笑って手を重ねた。
 
 
 
183

--特別室--

受付「えぇそうです。これで勇者パーティの謀反はほぼ確定です。全兵士に通達しなさい」
 
伝達兵「は!」
 
ガシャガシャガシャ
 
シノビ「あ、あの……なんでそんなことがわかるんですか?勇者パーティが裏切るだなんて」
 
受付「賢者がパーティを脱退しました」
 
シノビ「はい」
 
受付「それだけです」
 
シノビ「えぇ!?それだけです!?」
 
受付「……はぁ。このタイミングでパーティをやめたんですよ?魔王討伐を完遂したのだから、もうパーティを組んでいる必要は無い、と取ることも出来ます。が、まだ私達には勇者という大きな問題が残っているんです。普通ならそれが済んでからでもいいはず……」
 
シノビ「??はへ?」
 


184

--特別室--

受付「鈍いですね。勇者パーティは内部でもめたんですよ。賢者がこちらに来たということは何か違法行為をやるんでしょう。あの堅物真面目君はそういうことが出来ない人間ですから」
 
シノビ「違法行為?」
 
受付「勇者奪還」
 
シノビ「いっ!?」
 
受付「納得もしてない表情でしたしね。今の状況から考えてそれで間違いは無いでしょう」
 
シノビ「そうなのかー……」
 
受付「賢者がこちら側についたのは、無意識かもしれいですが、自分は正義側にいたい、という思い。それとせめて自分が彼女達を止めようという正義感」
 
本当に彼は扱いやすくて助かります、と受付。
 
シノビ「たった四人で王国を敵にまわすなんて……バカですね」
 
受付「バカですよ。あのパーティ、基本的に低学歴ですし」
 


185

--地下牢獄--

処刑執行日朝。
 
勇者「今日で……終わりか。結局寝られなかったな」
 
コツコツ
 
勇者(?こんな朝早くに誰だろう)
 
コツコツ
 
軍団長「……」
 
勇者「盗賊……」
 
軍団長「……」
 
大剣と大きな布袋を担いだ軍団長は、勇者の檻の前に立つ。
 
勇者「その背中に背負ってるのは……そうか、盗賊が私の処刑人なのか。私の……勇者」
 
軍団長はなぜか勇者の大剣を持っていた。
 
軍団長「……」
 
勇者「……何も喋って……くれないの?」
 
軍団長「……」
 
チャキ
 
軍団長は無言でナイフを抜く。
 
勇者「?……え」
 
ズガッ!!
 
 
 
186

--処刑場--

ザワザワ

勇者は処刑場の真ん中で拘束されていた。頭に布を被らされていて、勇者からは周りが見えず、周りからは勇者の顔を確認することは出来ない。

一般人A「あれが魔族ですか……まぁ恐ろしい!首から下は人間と全く変わらないじゃないですか」

一般人B「ちょっと小さいわね。子供なのかしら……でもきっとあの布の下は醜い顔に違いないですよ」

一般人C「おらー!!よくも西の王国潰しやがったな!!」



187

--処刑場--

処刑場に踊子達が到着し、勇者に向かって歩いていく。

一般人D「おお!!勇者さん達と王様だ!!」

一般人E「きゃああああ!!」

歓声が湧きあがる。
 
王様「それではこれより処刑を開始する。処刑する者の名は魔王軍幹部の魔族、サキュバス!!魔王軍の残党であるサキュバスを処刑したその時、長きに渡った魔王との戦いは終わるのだ!!」

民衆「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

賢者「……」

闘士「……」

踊子(賢者さん~……やはりあなたはそちら側についたんですか~……約束は破っていないとはおもいますが)

魔法使い「……」

王様「それでは魔王を倒した勇者に処刑を任せたいと思う。勇者、前へ!!」

踊子「……」

踊子が剣を持って勇者の横まで歩いていく。



188

--処刑場--

王様「それではこれより、魔族の処刑を行う。勇者よ!!」
 
踊子「……」
 
勇者「……」
 
踊子ボソ「勇者様、聞こえますか?これから助けますから」
 
勇者「……」
 
踊子ボソ「勇者様?何か言ってください」
 
王様「どうした勇者よ!!いつまで待たせるのか!!」

魔法使い「ひゃははwwwもう知るかよwwさっさとやっちまおうぜwwスーパーサンダー!!」
 
バリバチバチ!!!
 
兵士達「「「あぐああぁ!!」」」
 
魔法使いが放つ雷が兵士たちをなぎ払う。

大賢者「……やはり行動を起こしたか。賢者よ」
 
賢者「!……はい!」
 


189

--処刑場--

闘士「く、くそー!!」
 
ドガガッ!!
 
兵士J「ぐあああ!!」

闘士の一撃で吹き飛ぶ兵士。
 
賢者「!やめるんだ闘士君!水属性拘束魔法レベル2!!」
 
ガチっ!!

闘士「!!」

闘士の腕が水の縄で抑え込まれる。

踊子「勇者様!ほら早く」
 
ガッ
 
踊子は勇者の顔に覆い被せられた布に手をかけた。

ドッ
 
踊子「」
 
布が取れるか取れないかという時に、踊子の右腕が飛ぶ。
 
踊子「なっ」
 


190

--処刑場--

?「……ふふ」
 
踊子「!?な、なんで、お前がここに!!」
 
布の下から出てきた顔は、

?改め受付「残念でしたね」
 
受付だった。
 
一般人A「勇者パーティが謀反を起こしたぞ!作戦通り配置につけ!!」
 
一般人B「了解!!」
 
闘士「!?ま、まさか」
 
広場を囲んでいた民衆は実は兵士で、それぞれ隠し持っていた武器を取り出した。
 
踊子(この広場にいたのは全員、敵!!全部作戦はばれていたんだ!!)

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